葡萄の哀しみ
葡萄の実は涙で出来ている事を
知っていますか
葡萄の木は細く華奢で
横に伸びる性質があります
でも
生まれてからずっと
葡萄は空への憧れを諦めきれず
何度も何度も
空へ向かって高く手を伸ばすけれど
届く事は出来ず滂沱の涙
まして
誰かの支えが無ければ
生きられない事を知って
毎日泣いてばかりいるのです
葡萄に水分が多いのはその為です
哀しみの深さによっても
実の付き方が変わります
だから
沢山実が付いたからといって
心から喜べないのです
哀しみの結晶ですから・・・
夜になって
巨峰を一房買ってみた
恐る恐る
口に入れた瞬間
ぱちんと弾けて
涙の味が広がった
だから 今
哀しみの妖精が
口の中で
目を覚ましています
イラストは借り物です
かまくら春秋社 「詩とファンタジー」 平成26年 秋号 掲載
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