#ポエム 試練
身震いした夜を
一枚めくると
悴んんだ朝が生まれた
北風がにやりと笑いだす
木像になった木々は
冬の洗礼を受ける
風鳴りが森の奥まで
手を伸ばすと
ギィーギィーと悲鳴をあげる
冬の空を劈(つんざ)いて
奈落の底から湧き上がる叫びだ
比べると
とても恥ずかしい
ぬくぬくと生きている
着膨れした
私の哀しみなんて
寡黙な生命(もの)よ
純朴な生命(もの)よ
せめて
私の祈りが聞こえるならば
生きろよ
耐えろよ
この試練の先には
あの芽吹きの季節が
待っているのだから
朝日新聞 ローカル版 R4・2月掲載
イラストは無料素材の借り物です
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