#ポエム 春の足音
朝空けが優しかったので
風がひらひら笑っていた
嬉しくなって 思わず
通り過ぎる風を手バサミで
ちょきんと切ってみた
切り口から 勢いよく
冬が溶け出した
零れ落ちては
枯草の上で
きらきらと光っている
土の中では
寝起きた春の子供たちが
耳をダンボにして
外の気配を覗っている
もうすぐ
もうすぐ
春風が
軽やかな足音をなびかせ
虹色の夢を膨らませてやってくる
味戸ケイコさんのイラストで「詩とファンタジー」2016年4月号
かまくら春秋社 に掲載
表紙をお借りしました
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