#詩 ただ深々と
夜明け前
寂しさの向こうに雪が降る
深々と
ただ深々と
黒い静けさの上に降り注ぐ
目当てのない旅人のように
風に漂い 冷たさに晒され
ひとひらはひとひらと別れ
ひとひらはひとひらと重なり溶け合い
ただ深々と落ちて来る
それは
氷の糸で丁寧に編まれた
まだ一度も袖を通した事のない
純白のドレスのように白く清く
地面を染めて行く
まるで
穢れたものを消してしまうかのように
淡い哀しみを真綿で包むかのように
雪は雪の上に重なり深まって
白い世界を広げて行く
夜が明ければ
陽の光の洗礼を受け
また
夢の中に戻される事を
今は まだ
誰も知らない
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