#詩 葡萄の哀しみ
葡萄の実は涙で出来ている事を
知っていますか
葡萄の木は細く華奢で横に伸びる
性質があります
でも
生れてからずっと
葡萄は空への憧れを諦めきれず
何度も何度も
空へ向かって手を伸ばすけれど
届く事は出来ず 滂沱の涙
まして
誰かの支えが無ければ生きられない事を知って
毎日泣いてばかりいるのです
葡萄の実に水分が多いのはその為です
哀しみの深さによっても
実の付き方が変わります
だから
沢山実がついたからと言って
心から喜べません
哀しみの結晶ですから・・・
夜になって
巨峰を一房買ってみた
恐る恐る
口に入れるとパチンと弾けて
涙の味が広がった
だから 今
哀しみの妖精が口の中で
目を覚ましています
詩とファンタジー「かまくら春秋社」掲載 改訂版
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